2018年3月の歌

ハワイ短歌会 3月の歌


2018年3月の歌を掲載します。どうぞお楽しみください(あいうえお順)。

会を立て六年余年育めしも寂しさととも会を去りゆく  赤嶺安彦
我は去る共に歩みし思い出よハワイ短歌の前途に幸あれ  赤嶺安彦

独り居の夕餉は淋し週末は「鍋にしよう」と子らを招かん  伊藤美枝子
ラジオ付け落語聞きつつ運転し笑いに笑うトンネル迫る  伊藤美枝子

日本語が話せる子にと願いつつまた読み聞かす『アンパンマン』を  鵜川登旨
繋ぐ手を振りほどいては車道へと駆け出す幼を声上げ抱き止む  鵜川登旨

夕方の5時半着の渡し船かもめはマストへ夕日に染まる  蛭子俊典
衣替え春の陽ざしもよいけれど捨てるにすてられぬアルバムの山  蛭子俊典

異国でのかるた遊びに遠い日の家族で笑った光景浮かぶ  大室やよい
義母長く使ったベッドトラックに積まれて去るをひとり見送る  大室やよい

SLでシュシュポッポの旅したい海越え山越え見知らぬ村々  大森久光
旅立ちて去りく友への挨拶は又天国でお会いしましょう  大森久光

対岸にスーパームーン現れて光の道が此方に渡る  岡まなみ
アナナスの大きな株の真ん中に小さな花の輪見つけたり   岡まなみ

雛壇を飾り終わって振り向けば薄き口べに孫ほほえみぬ  沖葉子
雨上がり日本晴れの杉林元年者百五十年の祭り  沖葉子

国背負いオリンピックの晴れ舞台しくじりし選手(ひと)の悔しさいかに   川路千鶴子
一夜明け見渡す限り焼け野原戦(いくさ)は奪う街も家族も  川路千鶴子

見つめたり力及ばず負けた子を抱いて讃える母の涙を  川路広美
病む母のしきりに恋し旅の空二行の手紙くり返し読む  川路広美

風香るハワイの空を震わせし誤報のサイレン知らずに眠る  小島夢子
ベル押せばすぐ飛んでくると息子のくれし御守りのようなネックレス  小島夢子

大波に揺られ巻かれて弾かれて笑い止まらぬサーフ天国  コーヘン恵美子
サーファーになってニュートン力学を試す我が子の野外勉強  コーヘン恵美子

歌好きでいつも明るい少年の語ること無く犬撫ぜており  近藤秀子
夕陽(せきよう)の赤極まれば逆光の富士黒ぐろと姿顕わす  近藤秀子

人生の終焉にきて尚残る肩に置かれし母の指先  柴田和子
茶筅振る友の指先見つめおり激しさを増す雨足聞きつ  柴田和子

短歌(うた)のため春を探せどいずこにもそれらしきもの無きは淋しき  仁・シャワー
ふるさとは梅桃桜と次々に春到来は目にも楽しく  仁・シャワー

平昌に政治家集い握手会アリラン流れ白虎が舞う  関本なつ
冬の海静かに見守る年月(としつき)は待てど帰らぬ子等の笑顔  関本なつ

海岸に走るわが子のかわいさの輝くひとみ笑顔の中で  田中えり
コーヒーの香りを感じ味比べ優雅な朝の至福を感じ  田中えり

ヤシの実の頭と呼ばるる死火山も冬雨沁みて日日みどり濃し  筒井みさ子
吾子発ちし部屋を開ければいちめんの野原広がり風びょうびょうと  筒井みさ子

目が覚めて今日も生かされありがとうニワトリの声目覚ましがわり  橋本光子
かるた会心はずんでお手つきよ百人一首無知なる身なり  橋本光子

長雨の止みし梢の曇天は雪虫飛び交うふるさとの空   原 葉
終りなき乱射事件は又おきしこの衝撃に慣れることはなき   原 葉

ホクレアで世界巡りは叶わねど特別メガネでボヤージ(voyage)体験  三浦アンナ
子どもたちにわか船員VR付けて博物館は歓喜の広場  三浦アンナ

ひな様の年に一度のお出ましだいつに変わらぬ笑顔が並ぶ  村土満智子
東北の大雪だより続く中梅の開花や桜の便り  村土満智子

堆(うずたか)い仕事の山に挑みつつ光の速さで日々過ぎ行かん  毛利明子
憔悴しドアを開ければ湯気の立つ食事と共に夫の微笑み  毛利明子

氷上の彼の軌跡をたどりつつ息詰め見つめる観客も我も  森田郁代
冬枯れの野にふきのとう鮮やかな春の衣装を身にまといおり  森田郁代

眼下には団地の屋根の広がりてそれぞれの幸不幸覆へる  山下ふみ子
スイセンが枯野の隅に顔出して固き蕾のほぐれるを待つ  山下ふみ子

雨多く洪水警報の不快音水や電池をしぶしぶチェック  山谷敏夫
真珠湾思いははるか大戦の始めと終りがサイドバイサイド  山谷敏夫

スギ花粉マスク姿の人の群れ日本の春の風物詩なり   由里子
床の間に雛人形を飾りつけ娘を慶ぶ父母(ちちはは)ありき  由里子

墨だらけの大筆握る孫の手を包みて描(か)きあぐじいちゃんの顔   楽満眞美
縄張りのように根を張る黒松よ赤児の祝いに苗を掘らせよ  楽満眞美