2018年2月の歌

ハワイ短歌会 2月の歌

2018年2月の歌を掲載します。どうぞお楽しみください(あいうえお順)。

年老いて子らと一緒に暮らせるは我ら老後の心のやすらぎ   赤嶺安彦
棺の中君の寝顔は穏やかで切なき思いで語りかけたし   赤嶺安彦

夫植えしブーゲンビリアが満開にオレンジ色で我を見守る    伊藤美枝子
亡き夫の珈琲談議を思い出しブラックで試すブルーマウンテン    伊藤美枝子

昨日から家に入りたる一匹の蠅がまとわる顏の周りに    鵜川登旨
「五月蠅(ごがつはえ)」と書いて「うるさい」だったなと
突然思うハワイは睦月   鵜川登旨

毎日の食事も趣味も変わりなく妻と過ごしし日々に感謝す    蛭子俊典
気はのらず短歌に詩吟マンネリか旅してみても心動かず    蛭子俊典

客のためカップに挿(さ)したガーデニア香りとともに喜び運ぶ   大室やよい
核誤報今のところはテロもなく犬とソファーで昼寝の夫   大室やよい

「又来てね」言われて嬉し又哀しわれも間もなく八十路半ば    大森久光
せわしない年の瀬過ぎてゆるやかに正月気分が去りゆく日々よ   大森久光

腹を見せ手足を伸ばして寝る猫の無心な姿に頬を緩めぬ    岡 まなみ
大雪の日本の友よりメールあり赤き椿の写真をそえて   岡 まなみ

初春の陽ざしまぶしき日曜日犬も集いて一族の笑い   沖 葉子
春霞わが島里は雲の上孫は今晩留学へ発つ   沖 葉子

端正に刈り込まれたる道芝生散歩の足をしばしとどむる   川路千鶴子
パパイヤとあわき甘さのイチジクを
食し感謝の一日(ひとひ)始まる   川路千鶴子

旅の果てひっそり残る無人駅ホームの花壇心なごめり   川路広美
人の世のはかなき夢路あわれにてふと思案する身まわりのこと   川路広美

骨密度若い人並と告げられて喜び帰る運転歴六十五年   小島 夢子
中高校一日休まず六年間嵐が吹いても雪が降っても   小島夢子

犬はただはしゃぎてとんでまみれいる初めての雪そを楽します    近藤秀子
のっそりとかたへによりて蹲(うずくま)る
犬はひたすら愛さるるため    近藤秀子

言わぬでもよき事言いて傷つけし友の痛みは我が身に重し   佐々木 直
束縛も責任もない今の日々莢(さや)から弾(はじ)けた一粒の豆    佐々木 直

「お母さん」八十路の吾が呼んでいる夢が覚めてもしばらく娘   柴田和子
手摺り持ち右足のみで降りる足この老いいつか乗り越えてみむ   柴田和子

常夏の恵み受けつつ尚恋し肌に覚えし冬寒くとも   仁・シャワー
クリスマスツリーを飾る日本人門松に託す心忘れて    仁・シャワー

久々に味噌買いに行きその店で友に遭遇あ・そう・うん・また   関本なつ
何気なく選んだメニュー食べ終わりはっと気がつく私肉食系   関本なつ

だんだんとあたたかくなれ冬景色それでも好きよ寒い空気も   田中えり
海岸で海に反射のキラキラのエナジー感じ充実気分   田中えり

今年こそフェイスブックをと思へども
大儀になりて日がな本読む    筒井みさ子
職退きし君の眺むる冊子にはアンダルシアの大(おほ)きひまわり   筒井みさ子

新春に平和なハワイ夢さめるミサイル来るぞ逃げろかくれろ   橋本光子
朝食中緊急ニュースであわてたり誤報と知るも不安がつのる   橋本光子

南天の去年(こぞ)にも付かず赤き実は風物詩のごと雪と重なる   原 葉
夫が指す頂き白きマウナケア山肌染めて茜雲映ゆ   原 葉

米国でたった一つのイオラニパレス美しきコア華やぐ灯(あか)り   三浦アンナ
誕生日クイーンを祝う人の列ジャパンランタン夜空に踊る   三浦アンナ
※去年の12月31日はカピオラニ女王の183回目の誕生日

物騒な警報のなる何人(なんびと)も
押してはならぬ核のボタンは   村土満智子
春の音いまだ聞こえぬ朝ぼらけ何描くとなく絵筆をとりぬ   村土真智子

この年で人事異動の対象に!戸惑いつつも腕まくりせむ   毛利明子
買いたてのジーンズのよう新しい部署は何かと馴染みがなくて   毛利明子

初詣の賑わい去りし参道を月の照らせり鳥居の上より   森田郁代
運命を委ねる如く青虫は身動きもせず掌の上   森田郁代

我の吹くハモニカに合わせ母歌う
いつまで持てるやこのひと時を   山下ふみ子
連日の氷点下に厚着して買い出しに出る鍋の材料   山下ふみ子

年配のカップルめかして集う夜
フォーマルディナーはクルーズの花   山谷敏夫
ウッディなデッキ歩きは至福時風爽やかに景色が動く   山谷敏夫

ふるさとは雪に埋れて氷点下ハワイに住めるこの有難さ   由里子
南北が一つになれるオリンピック
政(まつりごと)にも望みはないのか   由里子

ふきのとうの絵葉書届き春を呼ぶほんのり土の香匂うがごとし   楽満眞美
ピスタチオの殻かみ割れば浮かびくる殻ほおばりし娘のほっぺ   楽満眞美